ACのCMで話題のおばあちゃん。「世界最高齢のアプリ開発者」若宮正子さんから学ぶ

とにかくバッターボックスに立ってみる。バットを振ったら当たるかもしれないじゃないですか。

80歳を超えてから私の人生はずいぶん変わりました。
81歳で初めてゲームアプリを作ったことで、国連本部でスピーチをすることになったり、
86歳でデジタル庁のデジタル社会構想会議の構成員になったり、
バットを振ったら当たっちゃったんです。
自分でもびっくりしています。
人生は本当にわかりませんよ。

自分の未来にフタをしないこと。
何歳からでも
人は変わることができるから。

こんなCMが目の前に飛び込んできました。
一体この素敵なおばあちゃんは何者なんだ!
と、いうことで若宮正子さんについて調べてみました。

目次

若宮正子さんってどんな人

若宮正子さん(通称:マーチャン)は1935年(昭和10年)生まれで現在87歳。

パソコンとの出会い

高校卒業後すぐに三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)へ勤務され、60歳の定年を迎える直前(Windows95が出る前)にパソコンと出会い、
定年後は毎日自宅で90歳になるお母さまの介護をしながら『パソコンがあると家にいながら色々な人とお話ができる』といった雑誌の記事がきっかけにパソコンを始めたそうです。
当時は高価なパソコン(1ヶ月分のお給料くらい)を買い、若宮さんの第2の人生における挑戦が始まりました。
最初は接続に苦戦し、3ヶ月程悪戦苦闘したうえで、ようやくパソコン通信のNIFTY-Serveにつながって、「ようこそ」というメッセージが出てきたときは嬉しかったと語っています。

パソコンを通してさまざまな人と出会い、交流できることに気付いた若宮さんは、「世界が広がった。60歳にして翼を手に入れた!」と高揚したと仰っています。
その後、このパソコンを幅広い世代に普及させたいという思いから、シニア向けのパソコン教室を開催するなどの活動に取り組むようになります。

Excel Artが注目を集める

若宮さんは自宅でシニア向けのパソコン教室の先生もしています。

若宮さんは「楽しい」をとても大事にしていて、
初心者の方でもExcelをもっと楽しく学べるようにExcelと手芸を融合して、絵を描いて楽しく学ぶという教材を考えました。
それがMicrosoft社のコミニティウィキというサイトで記事執筆することとなり、Microsoft社の推薦によってTED出演のお話を頂くようになりました。(当時80歳)

このアートは『Excel Art』と呼ばれ、主に日本の伝統的な模様をヒントに作られています。

80歳でアプリ開発を決意

あるとき、若宮さんは当時のスマホアプリにはシニアにとって扱いやすいものがないと感じ『シニアの気持ちはシニアである自分が一番よく理解できる』といった思いから、
80歳にして初めて自らプログラミング言語を学習し、スマホアプリを作るといった挑戦を始めました。
しかもこれ!多くの人の力を借りて独学で学んでいます!

そして翌年に『hinadan』というパズルゲームのiPhoneアプリを開発することに成功し、
そのことがCNNで取り上げられ、Apple社の主催する世界開発イベント(WWDC)に招かれました。
hinadan pc ダウンロード- Windows バージョン10/8/7 (2023) (windowsapp.tokyo)


そこではApple社のCEO(最高経営責任者) ティム・クックにも絶賛され、ご本人とお会いするようになりました。
そのとき若宮さんはシニア世代の代表となってティム・クックに直接、iPhoneアプリがシニアにとって使い辛いといった悩みや具体例を必死になってご説明されたそうです。こうして若宮さんは世界的にも有名人となりました。

2018年には若宮さんは、国連の社会開発会議『なぜデジタルスキルは高齢者に必要なのか?』といった会議に招待されるようになりました。
多くの国の高齢者はICTリテラシーが低く、それは経済的および社会的な役割を弱める可能性もあることから、
あらゆる社会の誰もがデジタル技術の習得をできるようにする必要があると国連では考えられています。
そこで若宮さんは自らの経験と考えを踏まえながら『シニア世代の心身における課題と改善策』、
『現在のIT技術活用における問題点と今後の方向性』について、Excel Artをスライドテンプレートにしたプレゼン資料を作成して、
国連会議の場で熱弁。当日、若宮さんは司会者から『日本のロックスターのような人』と紹介されたそうです。

昨年には台湾のオードリータンさんとトークショーを開いたり、デジタル庁のデジタル社会構想会議の構成員としても活躍。
「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」の合言葉のもと、今の前に進み続けています。

若宮正子さんから学ぶ

若宮さんは様々なインタビューや講義で考えを発信しています。

私自身、学ぶことが多かったので中でも好きな発信を紹介します。

――今後、働く人にどんな変化が必要か?

萎縮せず、たくさん失敗してそれを公開するスキルでしょうか。
私がある英語教室に通ったとき、年末のパーティーで先生が私に表彰状をくださいました。
「あなたがこの1年間、最もたくさんの間違いをしたおかげで、ほかの生徒も新しいことを学習できました」。
クラスメイトに一番貢献したので表彰するとおっしゃるのです。
失敗は自分だけでなく周りも育てるからという理由でした。

こうした経験をすることで、「人間力」が鍛えられていきます。
人間力とはいわば、個人の基本OS。知識や善意のほか、俯瞰する視点や考え方が含まれます。
OSが安定していれば、どんな変化に富んだアプリが搭載されても動作するようになっています。

また、試行錯誤をして多様なパターンを知ることで、クリエイティブな「創造力」やイメージを喚起する「想像力」も養われるでしょう。
これはどちらも欠かせない力です。なぜなら、私たち人間とAIが最も異なる点だからです。
人間の仕事がAIに取られると危惧する人がいますが、私は「創造力」と「想像力」があれば大丈夫だと考えています。
AIは1,000を1億に増やすような作業は得意ですが、0を1にするのは無理だからです。
アップルに招待されるきっかけになったゲームアプリを開発したのは、「シニア向けのゲームが少ないから作ろう」と発想したのが始まりでした。
このように無から有を思いつく、作り出すという領域はAIが入ることができません。
それこそが、人間の存在意義だと思います。

今後も起こる変化を乗りこなせるよう「人間力」という自分のOSを作ること、人間を特徴づけている「創造力」や「想像力」を育てること。
これらを実現するために共通するのは、やはり外部との接点を持つこととリアルな人間交流です。
もちろん「その道一筋」を貫くのも尊い経験ですが、ITを含めたいろんなツールや環境が整った現代だからこそ、好奇心の赴くまま枠にとらわれずにむしろ枠から飛び出してみてもよいのではないでしょうか。

若宮さんから学ぶ

若宮さんはこんなことを仰っていまました。
私もクライアントの某大手広告代理店にいたリスペクトしている人から、
インプットすることより、考えをインストールすることで自分のスキルは著しく変わっていく。
という考えを教えて頂き、大変衝撃を受けたことを覚えています。
このインストールをしていくうえで大事なのが、人間力(OS)ということが若宮さんのお話から感じられますね。

人間力とは明確に定義されているものではないのですが、
私なりに人間力についての理解まとめているので、こちらの記事も参考にしてみてください。

AIに仕事を奪われない、今後の目まぐるしい変化の中で生き残っていく人材になるうえで、この人間力を育てる観点はより重要になっていくでしょう。

まず、やってみる

若宮さんの多くのインタビューから学ばせていただいたのは、
まず、やってみる」ということでした。
たくさんの知識よりも、実際にトライしてみることで得られることの方が価値があるとおもいます。
失敗を恐れずに、飛び込んで観る、恥ずかしがる必要なんてない。
こういった挑戦からしか、なにかは始まらない。
年齢や今までの経歴なんかに縛られずに、「おもしろそう!」って感じたら行動をしていくことがすべての始まりになるんですね。

ポジティブな人の思考法!これだけでネガティブとおさらば【ABC理論】 – SUGUWAKA Lab (chona-blog.com)

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